WEB ANALYTICS IMPROVEMENT GAME

ファシリテーターガイド

運営マニュアル|配布用HTML版
2026.5.20|制作:KozyWorks

1. このガイドの目的

本ガイドは、本ゲームを研修・講座で実施するためのファシリテーター向け運営マニュアルである。

受講者向けルールブックでは扱わない「進行」「介入」「設計意図」を明確にすることで、誰が実施しても一定の品質で運営できる状態を目指す。

2. ゲームの本質(絶対に外さない軸)

このゲームの目的は「勝つこと」ではない。

以下の思考体験を提供することが最優先である。

意思決定

不確実性下での意思決定

限られた情報の中で判断する。

KPI

KPIの構造理解

施策と数値のつながりを理解する。

仮説検証

仮説 → 検証

選択理由を言語化し、結果から見直す。

  • 施策の因果関係の理解
  • 外部環境の影響の認識
評価対象は「結果」ではなく「思考プロセス」である

3. 全体進行(標準1プレイ:6ターン)

本ゲームの標準進行は、「1プレイ(6ターン)」で約140〜150分を想定する。

ただし、参加者の経験値、チーム数、AI比較の深さ、振り返り時間、ファシリテーターの介入量により時間は変動する。初回実施では、150分前後で設計することを推奨する。

標準所要時間

標準:1プレイ(6ターン)で約140〜150分

推奨:初回実施では150分前後で設計する

全体構成(標準150分)

1
ゲーム説明・前提共有
ゲームの目的、前提条件、基本ルールを共有する。
10分
0
ターン0
初期設定・戦略確認を行う。
5分
1〜6
ターン1〜6
各ターン20分で、結果確認、市場・3C確認、施策検討を行う。
120分
総括
総合結果発表・総括
グループごとの結果を発表し、意思決定プロセスを振り返る。
15分
内容時間
ゲーム説明・前提共有10分
ターン0(初期設定・戦略確認)5分
ターン1〜6120分
総合結果発表・総括15分
合計150分

各ターンの標準進行(20分)

内容時間
前回結果の確認・振り返り5分
市場・3Cの確認5分
施策検討(候補4つ → 2つへ絞り込み)10分
合計20分

ターン内で行うこと

5分

① 前回結果の確認・振り返り

  • KPI変化の確認
  • 売上・広告費・利益構造の確認
  • 想定との差分確認
  • 問題点の言語化

重要:「なぜそうなったか」を説明させる。

5分

② 市場・3Cの確認

  • トレンドカード確認
  • 3Cカード確認
  • 外部環境変化の確認
  • 制約条件の確認

重要:「前回と何が変わったか」を意識させる。

10分

③ 施策検討

  • 候補施策を4つ程度出す
  • KPI影響を議論する
  • 優先順位を決める
  • 最終的に2施策へ絞り込む

初心者向けサポート:ACTION GUIDEの利用

実務経験が浅い参加者や、施策イメージが湧きにくい参加者には、施策検討時に ACTION GUIDE の参照を許可してよい。

ACTION GUIDEは、施策名を覚えるための資料ではなく、「なぜその施策を選ぶのか」「どのKPIに影響するのか」「どのような副作用があるのか」を整理するための補助教材である。

▶ ACTION GUIDEを開く

AI利用時の議論対象

  • AIへ何を渡すか
  • AI提案をどう解釈するか
  • Humanとの差分は何か

2プレイ実施時について

2プレイを実施する場合でも、単純に所要時間が2倍になるわけではない。

2回目は、ルール理解、KPI構造理解、思考整理が進んでいるため、ターンごとの検討時間を短縮しやすい。

ただし、AI比較、振り返り、意思決定理由の言語化を重視する場合は、十分な時間を確保することを推奨する。

3-1. 初心者向けサポート

初心者には、施策を選ぶための足場として ACTION GUIDE を使わせる。

本ゲームでは、参加者全員が最初からWeb改善施策に詳しいとは限らない。施策名だけを見ても内容やKPIへの影響をイメージできない参加者には、同じフォルダにあるACTION GUIDEを参照させる。

利用してよい場面

施策検討で手が止まったとき

  • 施策の意味がわからない
  • どのKPIに効くか判断できない
  • 候補施策を比較できない
  • 説明理由を言語化できない
注意点

正解探しにしない

  • 資料に書いてあるから選ぶ、で終わらせない
  • 必ず「なぜ選ぶのか」を説明させる
  • 副作用や優先順位も確認させる
  • チームの戦略とつながっているかを見る

ファシリテーターの声かけ例

  • 「迷ったらACTION GUIDEで、その施策がどのKPIに効くか確認してみましょう。」
  • 「ガイドを読んだうえで、なぜこのチームではその施策を選ぶのかを説明してください。」
  • 「メリットだけでなく、副作用や実施順序も見てください。」

▶ ACTION GUIDEを開く

参加者レベルACTION GUIDEの使い方
初回・初級者施策検討中に自由に参照してよい。
2回目プレイ候補を出した後、確認用として参照する。
上級者原則として参照せず、振り返り時に確認する。
ACTION GUIDEは、答えを見る資料ではなく、判断理由を強くする資料である。

4. 導入のポイント

伝えるべきは3つだけ。

正解は1つではない

状況により、複数の判断がありうる。

施策は万能ではない

必ず副作用がある。

外部環境で結果は変わる

同じ判断でも、トレンドや3Cで結果が変化する。

注意

  • ルール説明をしすぎない
  • KPIの計算は必要最低限に留める
  • 考えさせる余白を残す

5. プレイ中の介入ルール

レベル内容
Lv1事実確認(KPIの見方など)
Lv2視点の提示(抜け漏れの指摘)
Lv3思考の深掘り(理由の追及)

原則:Lv2まで。Lv3は必要時のみ。

やっていいこと

  • KPIの見方をヒントとして出す
  • 視点のズレを指摘する
  • 思考を深掘りする質問をする

例:「その施策はどのKPIに効きますか?」

例:「その流入は一般流入ですか?広告流入ですか?」

例:「なぜそれを優先しましたか?」

例:「他に選択肢はありましたか?」

やってはいけないこと

  • 正解を教える
  • 最適解を誘導する
  • 判断を代替する

“考えさせる”ことが仕事。ファシリテーターは“解答者”ではない。

6. よくある失敗パターン

施策から考える

課題設定が弱い。

流入ばかり追う

CVR・AOVが無視される。

単発思考

ターン構造が活かせない。

KPIの分断理解

因果関係が理解できていない。

広告流入と一般流入を混同する

広告費構造を誤認する。

7. 学習効果を最大化するコツ

1回目プレイ

失敗体験

  • 思いつきで選ばせる
  • 深く介入しない
  • 結果のズレを体験させる
振り返り

構造理解

  • KPIの因果関係を整理
  • なぜ失敗したか言語化
  • 他チームと比較
2回目プレイ

改善思考

  • 仮説を持たせる
  • 優先順位を意識させる
  • 一貫性を持たせる

8. AI活用

AIオペレーターの役割は、AIへ答えを求めることではない。

情報設計

どの情報をAIへ渡すか。

問いの設計

どのように問いを立てるか。

解釈

AI提案をどう解釈するか。

ファシリテーターは、AIの回答精度だけを評価してはいけない。

  • Human側とAI側で何が違ったか
  • なぜ異なる判断になったか
  • AIへ渡す情報は適切だったか

本ゲームにおけるAIは、「正解を出すツール」ではない。重要なのは、AIと人間の意思決定の違いを理解することである。そのため、AIの提案理由を説明させることを重視する。

注意

KPI補正値や内部計算ロジックなど、ゲーム内部の答えに近い情報をAIへ与えすぎると、AIは単なる計算機になってしまう。

本ゲームでは、現在のKPI、現在の戦略、候補施策を中心にAIへ渡し、AI自身に施策の意味や影響を推測させる。

「AIへ何を伝えるべきか」も、本ゲームの重要な学習対象である。

9. 難易度調整

対象調整方法
初級KPIを限定する。カード数を減らす。ターン数を短縮する。
上級制約条件を追加する。意思決定時間を短縮する。トレンドを強めに設定する。

10. 評価方法

KPI改善度

数値の改善を見る。

戦略の一貫性

課題、施策、結果がつながっているかを見る。

意思決定の説明力

なぜその選択をしたか説明できるかを見る。

1回目→2回目の改善度

振り返りを踏まえて判断が改善されたかを見る。

11. ファシリテーターの役割

教える人ではない。正解を持つ人でもない。思考を引き出す人である。

12. クライアントワーク演出

リアリティを高めるために以下を導入する。

導入する演出

  • クライアント役を設定
  • 途中で制約条件を追加
  • 方針変更の指示を出す

  • 広告費は増やせない
  • 短期成果を求める
  • ブランド毀損は避けたい

13. トレンド・3Cの出し方

出し方

  • ランダム or 指定
  • 意図的に難しくする
  • 偏らせる

設計意図

  • 環境変化への適応力を試す
  • 正解を揺らす

14. 盛り上げ方

チーム対抗形式

チームごとの判断の違いを見せる。

KPIランキング

結果の違いを可視化する。

HumanとAIの戦略差分

人間とAIの判断の違いを比較する。

最優秀戦略賞

数値だけでなく説明力も評価する。

改善ストーリー発表

なぜ改善したかを発表させる。

15. 最終ゴール

本ゲームのゴールは以下である。

「施策を選べる人」ではなく、「意思決定できる人」を育てること。

さらに、AIを活用しながら考える、AI提案を評価する、AIへ適切に問いを立てることができる人材を育成することを目的としている。

本ゲームに正解はありません

同じ状況でも、どの課題を重視するか、どのKPIを優先するか、AIへ何を伝えるかによって、異なる戦略と結果が生まれる。

重要なのは、「なぜその判断を行ったのか」を説明できることである。

ファシリテーターは、結果だけではなく、意思決定プロセスそのものを観察し、受講者の思考を引き出すことを重視する。

本ゲームは、AI時代における「改善意思決定訓練」を目的としている。

GM用補助資料

ファシリテーター向けに、 ゲーム運営で使用するGM用カードを公開しています。

トレンドカード一覧

市場変化・外部環境変化を管理するためのGM用カード。

▶ トレンドカードを見る

3Cカード一覧

Customer / Competitor / Company を管理するためのGM用カード。

▶ 3Cカードを見る

トレンドカード(単体)

trendフォルダに展開したカードを直接開けます。

ID カード名
T01市場が拡大し新規流入が増加up
T02広告競争が激化しCPCが上昇down
T03季節需要で購買意欲が上昇up
T04市場が停滞し流入が減少down
T05比較検討が増えCVRが低下down
T06ユーザーの関心が高まり回遊が増加up
T07景気悪化で購買意欲が低下down
T08セール時期で全体的に改善up
T09市場競争激化で総合的に悪化down
T10ブランド需要増で安定成長up

3Cカード(単体)

3cフォルダに展開したカードを直接開けます。

ID カード名
C01競合の広告強化でCPC上昇down
C02競合の価格攻勢でCVR低下down
C03自社ブランド向上でCVR改善up
C04競合UX改善で離脱増加down
C05自社CRM強化でリピート増up
C06競合の囲い込みで流入減down
C07自社コンテンツ改善で回遊増up
C08競合最適化でCPC上昇down
C09価格戦略成功でAOV上昇up
C10競合在庫不足で流入増up
C11顧客の比較検討期間が長期化down
C12顧客のレビュー依存が強まるwave
C13顧客のスマホ利用がさらに加速wave
C14顧客の価格感度が急上昇down

up プラス効果 down マイナス効果 wave 混在(wave)